久しぶりに映画を観に行きました。

スポットライト 世紀のスクープ

良かったです。

舞台はアメリカ。30年以上にも渡り、多くの神父が子供たちに性的虐待を繰り返し行い、それらを隠蔽してきた事実を新聞社のチームが暴いていくという実話を元にした映画。

警察に行っても、弁護士に相談しても、内密に示談にされてしまい、神父は教区を異動するだけで罰は受けない。
性的虐待を受けた子供たちはある者は自殺し、ある者は心に傷を負いながら生きていく。

貧しい家、家庭に問題のある家の子供たちがターゲット。


教会というものが大きな力を持っていて、しかも神父=神と思われているような土地柄のため、こういった悲劇が続いてきたのかなという印象。


映画は、新聞社が教会の闇をどんどん暴いていくという話が進んでいき、教会や教会に屈してしまった弁護士を非難していくんですが、その中で見えてきたのが「じゃあ自分たちは何をしていたんだ」ということ。
まるで正義のように振舞っている新聞記者たちは周りを非難する資格があるのか?
教会の神父が性的虐待の事件を起こしたことはみんな知っていた。記事にしたこともあった。でも深く掘り下げたことはない。
新しい局長が提案するまでは誰も続報を書こうと思っていなかった。しかも数年前に弁護士から容疑者リストが送られてきたのにそれには対応しなかった。

たまたま自分たちが興味を持って、新しい証拠が出てきて、教会の闇を暴けると躍起になっていただけで、それよりもずっと前に何とかして戦おうとしていた弁護士達がいたのに。


教会に対することだけではなく、都合の良いときだけのマスコミという部分も描かれていて、そこが良い映画だと思った。


気になった点は、とある神父にまた会ってみると言っていたのにそのシーンが描かれていないこと。


ぞくっとしたシーンは、映画のラスト。
一つは電話のシーン。教会を糾弾する記事を載せたから、信者から抗議の電話がくるのではと記者たちがヒヤヒヤしながら出勤するんですが新聞社は静かな状態。仕事部屋に行くと、電話は鳴っているものの抗議の電話はほとんどなく、多くは被害者たちからの電話だった。というラストでした。
教会が隠してきたことは、多くの人は知っていたんだろうなと自分はそう解釈しました。そうだとしたらそれは恐ろしいなことだと。


もう一つはスタッフロール流れる直前の画面。
今回はアメリカのボストンに限って追い詰めていった事件で、ボストンだけでも神父87名が容疑者として不浄していました。この事件をキッカケに各国で性的虐待事件が明るみに出ます。
その地域の名前が画面いっぱいに映し出されるんですが、あまりにも多くて。神父87名どころの話じゃない。数百人。
しかもあくまで地域の名前なので、被害者は1000人を超えます(実際はもっといるのでは)。その事実にぞっとしました。