告白

完璧な映画を久々に観ました。
音楽の使い方も、映像美も、役者も、カット割りも、演出も全て良し!
原作は読んでないです。
少し落ち着いたら読んでみたいな。映画はもう一回観にいきたいので日曜日に行けたら…。

HIVの取り扱いについて特に賛否両論あるみたいですが、改めて考えるにはよい映画だったな、と。
だって、「牛乳にHIV感染者の血液を入れた」と言われた途端、思わずドキッとしてしまいましたもん。
よくよく考えれば、森口(松たか子)が言っているようにエイズは最早不治の病では無い。
なのに、自分自身がドキッとしてしまったり、牛乳を飲んでしまった生徒に憐憫の情を浮かべてしまうのは、まだまだ自分自身がエイズのことを理解していないし、偏見の目を持っているんだなぁと思いました。気をつけなきゃ。

お話の概ねの筋としては、娘が殺されたことを森口が生徒に伝え、犯人の名は言わず「A」「B」としつつも生徒には分かるように明示する。
この辺りも上手いなぁと思った。だって森口は名前は一切言ってないもの。

そして犯人への復讐としてHIV感染者の血液を入れた牛乳を飲ましていたことを暴露。
まあ、結局は牛乳に血液を入れたかどうかは明らかにはしなかったし、もし入っていたとしても感染の可能性は0だから、これをキッカケに二人が悩み苦しむように仕向けたのが森口の狙い。
この後の展開で分かるけど、森口は決して「更生」を望んではおらずひたすら「復習」を望んでそれを実行していく。
徹底的だと思った。

そして、それぞれの登場人物が語る「告白」。

どこかのブログでどなたかが「誰も悪くならないように描いている」と評していましたが、その理由が分かりました。
強いて言えば、森口の娘をプールに投げ入れた下村が一番悪いんですが。

でも、下村がゲームセンターで不良に絡まれた時に交番へ迎えに来たのが森口だったら?愛美はターゲットにならなかったかもしれない。
そして、HIVのことを生徒が理解出来ていたら。森口の復讐から逃れることは出来ていた。
下村が諦めずにきちんと病院に行っていたら、母親を殺すことも無かった。
でも、病院で検査しなかったらこそ、下村は『命』について考えることが少し出来ていたんだろうな。
家族に感染しないように(空気感染、飛沫感染はしないんだけど)必死に努力する彼の行動にはぐっと来た。
でもその優しさを愛美に向けることは出来なかったんだよね。

少年Aこと渡辺への復讐は残酷でしたね。
自分の手で自分が溺愛している母親を殺させる。

少年法、イジメ、AIDS。
15歳未満は観れない映画ですが(DVDになれば観れちゃうけど)、観た人が15歳未満のヒトに伝えられればいいんじゃないかなと思います。

っていうか、この原作書いた方、凄いですね。