青天の霹靂

ネタバレ感想。






良い映画でした。
じわりと泣ける映画です。
笑いもあり。基本的には淡々と進んでいく映画。

100分に満たない映画で、よくまとまっているのでお勧めです。
ミスチルの主題歌がとても合っている。


何のために生きているんだろう、とか親の愛情を疑ったことがあるとか、一度でもそういう経験がある人間が見たら感情移入できる映画かな。
何はなくとも、お腹に居る間、生まれた瞬間は愛されてたんだからそれが生きる理由、みたいな。
主題歌にもあったけど。
これを丁寧な描写で描いてくれていたのですごく感動できました。
音楽も丁度よくてね。大音量で煽ることもないし。
泣くシーンも、じわじわ泣く感じで。上手いなって思った。

ストーリー構成も役者もカメラワークもセリフも主題歌も全部良いんだけど、一番良かったのはセリフ回し。


お話を簡単に言うと。人生うまく行っていない男が、自分が生まれた時代にタイムスリップして自分の両親に出会って、自分が両親にとても愛されて生まれてくると知って、気持ちが救われるみたいな。そんな話。
シンプルと言えばシンプル。
だからこそセリフが大事というか。説明し過ぎても、自然体し過ぎても、仰々しいセリフ回しでもいけなくて。
そこが絶妙だった。

大泉洋さんのマジックシーンも見どころの一つ。
滑らかな手つきは観ていて気持ちが良い。


病院で、自分の母親がお腹の中の子に対して「大好きだよ」と言うのを、すぐ傍で聞く「自分」。
このシーンから分娩室シーンにかけて泣けました。
柴咲コウさんは女性から母親へ顔つきが変わっていく様がすごい良かった。
分娩室前での夫婦の最期の別れは良いシーンでした。

伏線の張り方、回収の仕方も好き。
最初のホームレスの男を何でバックショットで撮ってたのかとか。
警察署の人。
マジックの師匠。
悦子のビンタ。
チョコレート。


劇団ひとりの演技は全く違和感なく良かった。むしろ上手い。今までにも演技はみたことあったけど、今作が一番よかったんじゃないかな。

本編がすごくよくて、さあこれでどう終わるんだと思ったら最後にちょっとサプライズが。
過去から帰ってきた男が「さあこれから頑張るぞ」みたいなふわっとした終わり方じゃなくて、一つ区切りをつけて終わってたのであの終わり方好きだ。
父親の顔を映さなかったのも。