「ヒメアノール」

ネタバレ含む感想です。


主演、いや主演って誰なんだろう?濱田さん?森田さん?
この二人が主演って感じかな。
最近バラエティで映画の番宣のために出ているのを見て、時間も90分と短いし観に行ってみようと思いました。

漫画が原作の映画。
映画の感想としては、よかったです。

ストーリーは簡単に言ってしまえば、学生時代のいじめがキッカケで頭おかしくなって殺人を簡単に行うようになってしまった男に運悪く狙われてしまった人たちとの攻防戦。そんなお話。
サイコパスな犯人も、そのキッカケが学校でのいじめだとか、題材としては目新しくないんだけど台詞の言い回しだったり、日常会話が自然と行えていることだったり、ちょっとした笑いだったり、日常に少しずつ現れてくる不安と恐怖、そういった塩梅が絶妙の映画でした。
犯人の悲哀を表現するような音楽が盛り上げすぎていたところがあったので、そこは無くてもよかったなとは思った。
あれだとまるで、昔酷い目にあったから今サイコパスになってしまったんだという言い訳みたいに見えてしまうので。

良かったところは
・最初はラブコメ。でも早い段階で犯人である森田が出てくる。でもすぐにお話には絡んでこないで徐々に徐々に「何か危ない」感を出してくる。そして日常が一気に変化する。ここまで30分くらいかけているんです。この丁寧さがいい。そしてタイトル「ヒメアノール」が出てくる(このままの文字じゃないところが更にいい)。ゾクッとしました。ああ、そういえばタイトル出てなかったなって。この時気がつきました。「この映画の本番が始まりましたよ」と言われているようでよかった。
・殺人シーンとSEXシーンを交互に見せるところ。快楽の表現として。
・森田(役名)が人を殺す時に一切のタメがない。相手も女男構わない。昼も夜も問わない。そこが恐怖を煽られました。
・良い意味で役者さんの中に「主人公顔」の人がいないんです。森田さんも濱田さんもムロさんも。日常にいるかもしれない、と思える。普通の人の演技って実はすごく難しいんじゃないかと思う。オーラを出すのが難しければオーラを控えるのも難しいかもしれないと。
TOKIOで言えば主人公顔は長瀬さんや松岡さんだと思っています。他の3人もまあ特徴あるし、出演すれば目を引く存在かもしれない。
でもそういう人たち、特に主役を張ってる長瀬さんや松岡さんが3番手4番手くらいの一般の人の役が出来るかというと難しい気がする。
・殺人シーンの見せ方。ある時はしっかり見せて、ある時は状況的に死んだことを匂わせるとか。その辺りがうまいと思いました。
・原作はどうだったか分からないんですが。森田は岡田のことを恨んではいなかったんじゃないかと思う。騙されて学校に連れてこられた時も、嫌な気持ちにはなっただろうけど岡田がいじめの対象になるかもしれないし、友人である岡田の事を思っていたのかも。友人だと思っていた岡田が先に幸せになってしまったことで殺意が沸いたのかな。あのカフェ店員を森田が好きだったのかはよく分からないんですが、住所も突き止めているんだし森田の性格だったらすぐにでも襲いに行きそうなものだろうし、だから本当に純粋に好きだったのかもしれない。