シン・ゴジラ
ネタバレあり。


映画館の大画面と大音量で楽しめる期間は楽しみたく。シン・ゴジラ5回目観に行きました。
矢口、志村、赤坂、泉のそれぞれの関係とか、巨災対メンバーのやりとりとか、コンビ萌えもあって面白い。
矢口の一歩後ろにいてずっとついて行く志村が可愛いし。
矢口に対して敬語(当たり前だけど)それ以外のところでは喋り方がちょっとやんちゃだったり、そこのギャップがいい。
最初は傲慢なところもあった矢口がだんだん崩れてきて人間味出てくるのも可愛いし。
泉さんの、抜群の安定感。この人居れば何とかなりそうな感じ。
一見冷徹に見えて、一番現実見てるし人間味もある赤坂さんとか。
手話が「巨大不明生物」を表す仕草と、「ゴジラ」を表す仕草が違ってたりとか(ネットでこの意見見かけて再度観に行ったら本当に違ってた。気づいた人すごい)。
テレ東とか。

巨災対のメンバーは、色んな部署のはぐれ物・変わり者が集まっているけれど非常識なわけではなくて、きちんと名刺交換したり、みんなで協力してテーブルやPCをセットしたり、ご飯食べ終わったら「ごちそうさま」と言うし、間違ってたら「ごめんなさい」と言えるし、きちんとコミュニケーション取れてるのが素敵だなと思った。


テロップは、一番面白かったのが階段の部分と有識者会議のところ。
階段は、そこテロップ要る?っていうw


パンフレットとか考察・感想ブログを見ると、ある監督の作品のオマージュなのね。テロップ使い。
エヴァ的BGMは4回くらい流れますが、1回目初めて聴いたときは面白さと笑いとで、でもやっぱりあの曲は魔曲。燃えますね。
何気に4回ともアレンジ変わっていてだんだんグレードアップしていくのがすごい。
それ以外にもエヴァのBGMがシリアス場面で流れています。
過去のゴジラ映画のBGMもあちこちで使われていて、それを聴くのも楽しみの一つ。

映画の最初はBGMが全く流れない。効果音もない。
確か蒲田に現れた時に初めて流れたのかな。その演出がよかった。


っていうかOPがずるい。もう東宝の画像で昔の画像が出てきたところで、何か知らないけど庵野さんっぽい!って思った。
東宝の画像→そしてシン・ゴジラのタイトルがどーんと出てくる。もうストレート。ストレート過ぎる始まり方。


5回観て、うまく表現できないんですけど、映画前半のリアル感はどうやって醸し出せているんだろうって思う。
今までも色んなドラマや映画で政治のリアルさを描いた作品はたくさんあるけど、それとちょっと違う。
映画向けにカッコつけすぎていないセットのせいなのか。
構図のせいなのか。
役者が喋るときに正面向かって喋りかけるシーンが多いから、まるで観客に向かって喋っているように感じて観客がその場にいるように錯覚するからなのか。

攻撃シーンでは、多分仕事として淡々とやっているのが描かれているからリアル感があったかもしれないです。
撃てー!とかやったか!?とかパイロット自身は言わない。はい、決められた手順通りでいきますねーって感じのがよかった。

しっかり見れてる方は分かるんでしょうけど自分は実写・CG・ミニチュアの見分けがよくできなかったです。
まあよく考えれば自衛隊のヘリが東京であんな展開できるわけないんだけど。メイキングを見て「あのヘリCGだったの?っていうか街がCGだったの?え、戦車も?」「あれミニチュアだったのか」と気づくことが多かったです。戦車に関してはCGに見えなかった。ちょっとまって、むしろ実写がどこだったのか知りたいんですけどレベルです。

ゴジラのCGは本当によくできていたと思います。ぶっちゃけハリウッドのCGの方が変なの時々あるから。
東京駅で停止するところは趣ありました。さすが萬斎さん。


色んなところで言われてますが、映画は「今の日本にゴジラが来たら危機管理はどうするのかという」リアルシミュレーション。
今までのゴジラシリーズ全く知らなくてもOKな映画。知ってたら知ってたで驚いたり面白いシーンはあるけど、今までとのストーリーの繋がりは全く無くゴジラも別物。
後半はリアルさはあるけどここからはファンタジーです。津波原発原発にポンプ車で放水とか、そういうのを彷彿とさせる。マキ教授が疾走したのも11月3日というのも、あの震災を考えさせられます。戦争と、震災。今回のゴジラはこの二つの象徴のような存在でした。
米軍が爆撃したシーンでは、ゴジラは怖いんだけど米軍の攻撃も嫌、という複雑な気持ちになった。まるで日本が空襲に遭っているような。あの夜のシーンは、ちょっと作り物っぽう映像もあるんだけど全体的には悲哀溢れた名シーンだと思います。


後半のファンタジー部分。
血液凝固材が上手く入れられたことにしろ、ポンプ車が素早くセットできたことにしろ。
でもゴジラがあまりに強いんで、もうこれが成功しなきゃ仕方ないと客側としては思っているんでそういうのが気にならなかったです。

無人新幹線爆弾、無人在来線爆弾は最高でした。その戦い方日本っぽいw
高層ビルアタックも。あ、そうか、物を壊さず護るいう概念を捨てれば全部武器になるんだなぁって。
で、何で都合よく架線や線路が無事なんだよというツッコミをしてしまいましたが、よくよく聴いてると直前の作戦会議で「仮設の〜」という台詞があるんで、もしかしたら事前に整備していたんですかね。


ゴジラは死なずに凍結されて東京に残る。これがとても印象的でした。居るんだ、まだ居るんだゴジラ。っていう驚き。
今までは基本的に海に帰っていくことが多かったような。

だからこそ、天災とも人災とも共に生きていかなきゃならいんだろうっていうメッセージがあるように思えました。


あとスタッフロール。
役者陣の多さ。え、あの役者さんをその他大勢的な感じで流すんだ、っていう驚きもありました。
とにかく多い。いろんな部署が多い。
そして庵野さん複数要る説。じゃないけど、一体どれだけ関わっていたんですかっていうくらい庵野さんの名前が出てくる。
監督の名前がこれだけ出てくる映画も珍しいかと。


悪いところ言うとしたら後半はゴジラのことを研究しつくしたからおかげもあって、被害はあったけど、割とスムーズに倒せています。
いや人はたくさん亡くなってるし、無事だったビルや電車壊しまくってるから大勝利ってわけじゃないんだけど。
むしろ後半はゴジラが敵というよりも、核爆弾を日本に落とさせないための戦いという感じがしました。
ゴジラよりも人間が怖いとか、ゴジラよりもやっかいだとか、そんな台詞が映画の中で何回か出てきます。
核爆弾を防ぐためにゴジラを凍結しよう、そのためにはもうある程度の損害は目を瞑る。前半、2人の老人のために攻撃を回避した政府、2回目はもしかしたら人がいるかもしれないけど止むを得ないから攻撃を許可した政府、そして3回目は、明らかに人が死ぬだろうけど攻撃を決断した政府、そんな風にも見えました。

そういえば一回だけ出てきた対馬(多分あの国絡み)。ここの伏線は特に回収されず終わってますけど、これを始めとして、分かる人間だけ分かればいい的な進み方は面白いっです。多摩川なのにタバ作戦とか、ヤシオリ作戦の由来とか、唐突に出てくるアメノハバキリという単語とか。何それと思いつつ、説明なしでどんどん進む。何だろう、特に気にするな的な感じなのか、わかんなかったら調べればいいでしょうっていう感じなのかw
場所や役職名や戦車などのテロップは出るのに、こういう言葉の説明テロップは一切出ない。自分はそれが面白かったです。