ユリゴコロ

ネタバレ入り感想です。

結論を先に言うと、良い映画だったと思います。
セックスの時の映像表現が自分は今まで見たことが無いものでとても印象に残りました。
ボタンを一つずつ外して、開いた時のあの映像はちょっとトラウマにもなりますが。



映画館での予告内の「貴方の優しさは容赦がありませんでした」という台詞と、吉高さんがバラエティで宣伝していた「好きな人に対して殺すという愛情表現をとる」(みたいな言い方)の言葉に興味を惹かれて観に行ってきました。
R12の文字に、殺人事件が起きるだろうから少しエグいんだろうなと軽い気持ちで観に行って、多分ですけど始まってから30分〜40分くらいしたところで息苦しくなって吐き気がして退席してトイレに駆け込みました。
「渇き」以来の退席。

人の殺し方が酷いとかそういうのではなくて、リストカットシーンの次にレイプシーンがあって、その二つが胸というか胃までえぐってくる感じがして耐えられませんでした。
リストカットはどこか幻想的、レイプシーンはリアルに。自分が女ということも影響しているんでしょうけど、かなり感情移入してしまってこちらに痛みや苦しみがダイレクトに伝わってきました。
吉高さんの闇の篭った声が更に。

もちろんこれは役者さんたちの演技、監督の演出が良いからこそなんですけど。


何とか再び席に戻って、最後まで観れました。そして帰宅してからは数時間寝込みました。
いやー…久々にきました。多分、最初から最後まで椅子に縛り付けられて強制的にこの映画を、映画館という暗い場所で観るという状況にあったとしたら自分は気絶しているか死んでいるかになってるんじゃないかとすら思いました。
脳の中で「救い」を探すんですよね。誰かまともなキャラクターはいないのか、ホッとするストーリーは無いのか。でもどんどんストーリーが進んでいくとあのバイトのカップル以外は救いが無かったですね。


好きなシーンはいくつかあって、特に橋での立ちんぼシーン、ダムのシーンが好きです。


全部観終わって、謎も解けたところで、改めて最初から観たいと思う映画です。
最初のカット。すごく印象的だったんです。あの時、人の顔から始まるのは珍しいな、としか思ってなかったですけど観終わってから考えると、あの表情の意味、車の運転の仕方、全てが解けていって爽快でもあり、主人公とそしてあの母親はこれからどう生きていくんだろうかと切なくもなります。