ヴィヨンの妻

太宰治の小説が原作。独特のセリフ回しを実際に音にして聴くと、「おお〜」という感じで私としてはそれだけで感動。
短編小説を読み切った気分になった。ストーリーがストーリーなんで、イイか悪いかは良く分からないけど
良く出来ている映画です。

戦後の混乱期の様子とか、カタカタとした生活音が何故か心地よく聴こえる。

しかしまあ、あんな旦那(モチーフは作者本人だけど)が本当に居たら張っ倒したくなるわw
力強く生きる佐知は凄いと思うけど、共感は出来ない。

夫の大谷はダメ男なんだけど、佐知も実はそれに少し似た部分があるんだよね。22歳の時の万引き事件がまさにそれ。
とあるブログでも書かれていたけど、この映画のラストで2人は再び一緒に歩んでいくんだけど、多分今後も同じようなことを繰り返す可能性がある。

大谷はまた酒に溺れ、浮気を繰り返し、心中未遂を起こす。佐知は大谷の借金を返し続ける日々。

それでも、2人一緒に生きていられるのならばそれでいいじゃないか。
「生きる」ことが最上の幸福で、「どう生きるか」は二の次なのかなと思った。


映画終わった後、お酒が飲みたくなる映画です。


映画評論では松たか子さんの演技が絶賛されていたけど、分かります。
何とも言えない色っぽさと、そして女性の強さが感じられる。