DVDだけど

砂の器

ずーっと観たい観たいって思っていて、でも、「やっぱりいいか」って思っちゃったりして数年越しの思いで観ました。

原作は読んでいないです。SMAPの中居さんがドラマでやっていたのを観ていて「このお話いいなぁ」と。
ドリカムの「やさしいキスをして」も好きでCD買ったっけ。

だから、そのドラマのイメージを持っていたかったんで元の映画の方は観なかったんです。
が、先日本屋へ行ったら「松本清張傑作映画ベスト10」ってことで映画本編DVD付き解説本が売っていまして。
何かに引かれるようにして買いました。

演出やカメラワークは古いものの、丁寧な作りの映画でした。
よく、「昔は良かった」って話聞きますけど分かる気がします。

あと、原作とはかなり違うらしいってことも知りました。
このお話で一番核となるであろう、本浦親子の約2年に渡る苦しい旅の描写が原作には殆ど無い。っていうか今西刑事が語っているという2行のみ。
「ええ〜!?」って思ったと同時に、たった2行の文章から思いをくみ取り想像を膨らませ、魂を吹き込んで出来たのがあのシーンの数々なのか…と思うと尚感動が押し寄せてきました。

そしてこの映画に込められたもう一つのテーマ。ハンセン病患者への壮絶な差別。
感染力も低く、現代では「治る病気」のハンセン病ですが、昭和15年頃はまだ不治の病。

ハンセン病はらい病とも言いますが(らい病の呼び名の方が先か)、この名前を初めて知ったのは中学生の時。聖書に載っていたのでそれで初めて知りました。それから数年して、突然、聖書が改訂されて「らい病」が「重い皮膚病」という名に変更されたんですよね。それが一番印象的だったな。
あとは、行きつけの耳鼻科に「ハンセン病患者のための募金」と書かれた貯金箱があったこと。
そこの女先生は(何故かマザー・テレサとも交流を持っていた人だった)、ハンセン病患者の支援を仕事の傍らにやっていました。

そして、小泉首相が就任した直後に、ハンセン病患者が国を訴え、しかし首相は控訴を取りやめたというのがありました。
多分、これがハンセン病にまつわる出来事で一番最近のものだと思います。

昭和15年頃。そして平成の世を20年過ぎても未だに解決されていなかったということに衝撃を受けました。


映画自体は、若き日の丹波哲郎さん、森田健作さん(現・千葉県知事)、渥美清さん、緒形拳さんなどそうそうたる役者さんが出ています。
脚本には山田洋次監督の名前もありました。