白夜行

良かったです。CMよりも良い映画ってなかなか無いです(笑)
CMの好印象を超えるような映画ってあんまり無いのに。

観終わってからじわじわ来る。

ああ、いい映画だった、と思える邦画です。

原作は読んでないです。ドラマは全話観ていて、そっちのファンなのでかなり偏見を持ちつつ、でも気になって映画「白夜行」を観に行ってみました。

一番、偏見を持っていた船越さんの刑事役。ドラマの、武田鉄也さんが演じた刑事があまりにも良かったので。

でも、一言セリフ聴いただけで思いが変わりました。

やっぱり役者さんは凄い!一言二言のセリフで空気を作っちゃうんですね。


ドラマの「白夜行」は登場人物の心情を細かく描いているのに対し、映画は、船越さんが演じた刑事以外は、凄く客観的というか。
登場人物の心情は、観た人それぞれが読みとっていくように感じました。

ドラマ版は少女漫画で、映画版は成年漫画みたいな。


好きなシーン。

・原作では二人は事件後は全く会わないんですね。ドラマ版ではかなり接触していますが、映画版では原作のように二人の接触は最後まで描かれていない。でも、雪穂の人生の裏に、確実に亮司が居る。そんな演出がすごくぞくぞくした。
・オープンを控える雪穂の店でのシーン。元刑事と旦那がついに事件の謎を暴いて、雪穂の元に来るとき、光線を利用したモールス信号で二人が来るのを亮司が伝えるシーン。亮司の姿は無いけれど、この光の煌めきが雪穂に当たった瞬間「二人は確かに一緒に居る」というのを感じてとっても印象に残りました。
1人きりで生きているような雪穂と亮司なんだけど、この二人が、二人だけが見えるところで繋がっているっていうのが良かった。
・亮司が自殺した姿を見て、「私は知らない」と言い放ち去っていく雪穂の姿。あの「虚無」の表情。あれを見るだけでもこの映画を観に行く価値があると思いました。虚無であり、でも哀しみ、感謝、愛情もあり。そしてまた虚無。それを繰り返しているような表情でした。ドラマ版で、死体を犯した後の亮司の表情に次ぐ名演技。

監督さんは33歳とかなりお若い方だそうでビックリ。

映像は凄く渋くて、でも綺麗なんです。
電話ボックスのガラス越しに画が一番良かった。

そうそう、ドラマとは違う面がもう一つ。
ゴールデンタイムで放送されていたドラマと違って、映画なんで、レイプシーンや通常のSEXシーンがドラマよりもがっつり描かれています。映画館に居た若い子たちは多分それを予想していなかったのかな。「うわっ」「うわー…」とかなりびっくりしていました(苦笑)