小川の辺

ぶっちゃけた話、派手な映画では無いのでそんなにお客さんいないだろうと思って場内に入った瞬間、ベテランなお客さんたちがかなり居て「おお…っ」と一歩下がりそうになりました(梟の城とか隠し剣のときもそうだった)。
藤沢作品ですからね。やはりそっちのファンが多かったです。


内容は良かったです。


作法の美しさ。
山形の自然の美しさ。
川のせせらぎ。
着物の衣ずれ、草鞋で歩く時の「じゃりっ」っていうあの音。
武士としての生き様の美しさ。


そういう美しさを感じられる映画でした。


内容の8割くらいは標的に会うまでの道程を描いているんで、悪く言えば地味。
かと言って、江戸までの道程を短く描くと、最後の立ち合いの場面での緊張感が半減するからこの旅の部分はそれなりの時間やらないと意味が無い。
でも、そこをギリギリのところで飽きさせない役者の存在感(セリフがめちゃくちゃ少ないから、“居る”だけでの存在感が大事)や、風景描写が素敵でした。


ストーリーとしては、朔之助と田鶴の兄妹の仲の悪さの原因が知りたかったな。


朔之助は完璧な武士で、農民にも優しくて好青年ですが、田鶴にだけは素の部分が見えて、人間っぽいところが出ていました。