かぐや姫の物語

良かったです。
意外と感動しました。


以下、ネタバレあります。



実際のストーリーとは少し違いますが基本的なお話は「竹取物語」と変わらない。竹取物語のアニメ版。それ以上でもそれ以下でも無い。最後どんでん返しがあるわけじゃないですし。
誰もが知ってる昔話「かぐや姫」を今までは分かっているつもりで読んでいたけれど、この映画を観て「そうか、確かにそこは疑問だった」「そういう解釈が出来るのか」とか色々発見できて面白かったです。
昔話は全てそうかもね。
桃太郎とか鶴の恩返しとか、意味があるかもしれない。


観に行く方は、竹取物語を自分はどう感じて読んだのかっていうのを思い返してから観に行くと良いかなって思います。
山に住んでたかぐやが何で急に都に来たのか。大分大きくなった頃に、慣れ親しんだ場所を離れるなんて、その時かぐやは何も思わなかったのか。貴族の家系でも何でもないかぐやが何で「姫」として都で住むことができたのか。とかね。


今どきのアニメ絵に慣れているんで「となりの山田くん」のあんな感じの色彩なのかと思ったら、あの時よりも数段良くなっていました。
となりの山田くん」の時は何であの塗り方にしたんだろうと疑問だった。監督のこだわりかもしれないけど、あれじゃあ手抜きみたいに見えてしまう。
でも今回の「かぐや姫の物語」で監督がやりたかったことが分かった。
水彩で描いた絵。写真のような絵ではなく「絵」が動く様は綺麗だった。高畑監督はおもひで〜の時の紅花のようにリアルを追い求める人だと思っていたから意外だったけど。

絵は割とすぐ見慣れます。

時折我に返って「この動画を描くのにどれだけの時間がかかったんだろう」と鳥肌が立つことも。
スタッフロールの作画会社(既に人じゃない)の数がえげつないことになっています。

侍女のぷくーっとした女の人がとっても可愛かった。
最初から最後まで良い人でホッとしました。
彼女が出てくるだけで癒される。


捨丸は最後あれはアカンでしょ、妻子捨てるなんて(苦笑)と思ったけど。

そしてラスト。昔話でさんざん読み慣れていた筈の姫と翁・媼との別れに思わず涙。
周りのお客さんからもすすり泣く声が。

が、そこに水を指すブッダ
あれが天女だったら…!
聖☆おにいさん知らない方は何にも思わなかったでしょうけどね。


絵やその他大勢の人達の動き、食事のシーンは流石ジブリという素晴らしさでした。
綺麗。ちょっとした日常の動きも再現されているし。


捨丸は、多分名前からするに「捨てっこ」っていうのか、もうこれで子供はおしまいみたいな意味合いがあるのかな。
弟はまだまだいるようだったけど。
そんな名前をつけられた捨丸とかぐやとの対比。


月でかぐやが犯した罪はぼやかしていたので想像しかできませんが。
月の彼女が歌っていた歌を歌ってしまったからなのか、はたまた彼女を傷つけるようなことを言ってしまったからなのか。

→考察まとめを見たら「あ、なるほど」と思う意見が。
月の世界は喜びも苦しみもない世界。月からの迎えに仏がいたことからも、おそらく月=死の世界。
そんな世界でかぐや姫は偶然「わらべ唄」を聞いて、「けもの、虫、木、花、そして人間の生」に興味を持った。
これが罪だったんじゃないかっていう。

だから罰として地球に下ろされて、生きることの苦しさを味あわされた。

けれど月に返されると知った瞬間に、苦しいことはあるけれどもこの地球で生きたいと思った。
月に戻って、また喜びも苦しみも知らない冷徹なものに戻りたくないと思った。


映画の中でそれらしいことを姫は言っていて、そこにエンディングの「いのちの記憶」を聴くとこの物語の謎が解けるのかもしれない。


ただ地球でかぐやが犯してしまった(周りの人を不幸にしてしまった)罪が結構大きいような。

最後、映画館から出る時に小学校低学年(幼稚園年長かな)と思われる女の子が「最後一緒に歌ったよ」と言っていたのが可愛かった。
いや、子供向けとしては難しかっただろうによく最後まで観たね、と感動しましたよ。