シン・ゴジラ

面白かったです。ちょっとネタバレあり。
TOO YOUNG TO DIEに続いて自分の中では今年第2位。

予告では良さが全く表れていないのが勿体無い映画です。
公開初日だったのでネタバレ無しで観に行って正解でした。「え!?」ってなりましたもの。

最初は観に行く予定は無かったけれど、庵野監督が関わっているなら一筋縄ではいかない変わったストーリーが見れるかもしれないし、でもアニメのようには行かないかもしれないし、でもでもゴジラをどうやって倒すんだろう?というのが知りたくなって観に行きました。



・邦画というのを忘れるくらい、ダイナミックな破壊シーン。
・良い意味で裏切られるゴジラの実態。
・そして会議シーン、会談シーンの緻密さとテンポの良さ。会議映画として面白いです。
何とかしたいけれど法律がー憲法がーという枷。それでも「こういう解釈をすれば…」と何とかしようとする姿とか。
・テロップの入れ方は庵野さんらしさ満載でした。そしてあのBGM。これはもう監督ならではの特権だなって。
こういうの嫌な人もいるでしょうね。自分は楽しかったです。
・構図というかカット割りというか「これアニメでよくやる」っていうのが随所にあって面白かった。
このアングルか、っていう。
これは自分の好みなんだけど、ここは引きで撮ったらいいのにとか、ここは真正面から撮った方がいいのにとか、ここは人物を端に寄せた方がいいのにとかあるんです。そういうのがこの映画では構図がかっこよかったです。
自衛隊に命令一つ出すにしても、いくつもパターンがあって。自衛隊の攻撃の仕方も良かったです。攻撃して返り討ちに遭う映画的シーンが今までは多かったけれど、今回はきちんとしていました。
・最終的な倒し方は、斬新。地道で、地味で、でも現実的かもしれない。映画的な派手さを求めるなら絶対やらないだろうという方法。日本ならではの倒し方だと思う。これハリウッド版だったら絶対やらないだろうって。
それ武器にするんだ!っていう驚きと面白さ。
エヴァで言うところのヤシマ作戦&第10使徒との戦い(ちょっとだけね)を彷彿としました。
エヴァっぽいシーンはたくさんあるんですけど、そんなエヴァだって色んな作品の影響を受けて作られたものだから、まあいいんじゃないかって思うんだけどね。ウルトラマンがあって、ゴジラがあって、ガンダムがあって、エヴァがあって。みたいなね)
・もちろん「ん?」と思うところはあります。
最初の方は役者さんが棒読みだし。
ゴジラを倒すための方法が、台詞では説明してくれるけれど映像にはならないし、本当にそれが効くのかいまいち分かりにくい。
・良かった点は、こういう映画にありがちな「携帯で家族や恋人と安否確認をする」「近しい人が亡くなってゴジラに復讐心を燃やす」「家族が主人公たちを心配するシーン」が数秒くらいしか無かったこと。
もうそういうところはごっそり無くして、ストイックにひたすら対ゴジラ戦、日本をどうやって守っていくか、日本の国民と土地をできるだけ守りながらゴジラを倒していくのか、ということに焦点をおきつつ、きちんと諸外国との関係も描いていてリアリティがありました。
石原さとみさんのキャラは突き抜けていて好き。ほぼ男だらけで淡々と仕事をこなしていく空気の中で、あのキャラは刺激的で良かったです。
エヴァで言えばミサトとアスカとマリを足して混ぜた感じ。
・何よりも一番良かったのはゴジラの怖さ、絶望感を味わえたこと。
まず、自衛隊が攻撃することを許可してもらうのに四苦八苦して、そのシーンがとても丁寧だっただけに、自衛隊の攻撃が効かなかった時の絶望感ね。そう簡単にゴジラが死なないって分かっているんだけど、映画がきちんと描いてくれているから観ている側にその気にさせてくれる。
米軍の攻撃でもダメ。
で、最終兵器として…。
それを使えば倒せるかもしれない。でも人としてそれだけは使いたくない。他の方法に賭けたい。その葛藤が切なかったです。
・最後の方は、そんなゴジラを何とかして欲しいというのと、日本を壊さないで欲しいという某国への思いが重なって、ラストが色々スムーズに進んでも違和感はなかった。特にあのシーンはわくわくしました。新幹線とか在来線とかそういう使い方するのかっていう。在来線って言葉もいいですね。