映画感想

「天気の子」を観に行ってきました。

とても良かったです。

セカイ系のアニメとしては丁度いいお話。

 

 

最初は全く期待していませんでした。前作の「君の名は」が酷かったんで、今回もまた男女カップルで、「僕らだけの秘密」「世界を変えてしまったんだ」という臭い台詞。

またセカイを救うお話?って。

 

でもCMで銃のシーンを見て、そこがとても気になったんで観に行ってきたわけですが。

 

もう全然違う。君の名はのめちゃくちゃなストーリー展開、人物の描き方の浅さはなんだったんだと思うくらいに「天気の子」は良かったです。

 

ここからネタバレ有り感想です。

 

 

 

勿論、銃の安全装置だとかツッコミどころはあるんですが、かなり些細なこと。

主人公の少年・穂高の家出の理由ははっきりはしませんが、それは描かなくても大丈夫な範囲。

こっちが想像するくらいでいいんだろうなって。自分としては、親と喧嘩&東京への憧れがあって東京へ来たのかなと思いました。

もうひとりの主人公・ひな。凪という弟と一緒に暮らしています。母親は昨年亡くなったという設定。

これも個人的に感情移入できたところ。多分、父親はそれより前からいなかったようだから母子家庭で育った姉弟だと思うんですが、姉の性格・振る舞いかたとか、しっかりものの弟だとか、「あるある」で。

 

現代を舞台にしたファンタジーを描くときに、あまりにも「偶然」を入れると駄目になってしまうんですが、今回は、ひなが鳥居をくぐって天との繋がりが出来た、ということ以外は「偶然の超常現象」が少なくて、だからお話としてもよかったです。

 

これ、「天気」がテーマだから絶妙だなって思います。晴れ女のひなの能力も、本物だとも言えるし、偶然そうなっただけとか、晴れさせるんじゃなくて晴れる場所の感知に長けていただけかもしれない。

最後の方の展開も、彼らのせいじゃなくて、たまたまそういう天候になっただけかもしれない。

 

作中に「天気」「異常気象」についての見解も、お寺の住職が語っており、そのシーンがとても良かったです。たかだか百年ちょっと観測した天候で全てが解るわけでもないし。

そしてキャラも「セカイ系」につっこみを一つ入れています。

 

だから「丁度いいセカイ系」でした。

 

CMの「世界の形を変えてしまった」に嘘はありません。

ハッピーエンドと言い切れないけど、彼らは確かに繋がりを持って、人として成長もして、次へ進んでいく。それは、あの時に諦めずに好きなものは好きだと突き進んだからじゃないかな、と思います。

 

前半、東京の街が細かく描かれます。東京に何度か行っているので見たことある風景もちらほら。

君の名は、と違って汚い部分も描かれています。

風俗店やラブホテル。

住宅地。

そんな風景や、そこに住む人たちも丁寧に描かれているからこそラストに生きてきます。

思わず「ええ!?」って言っちゃいましたよ。そんな展開?でもそれ正解!っていう。

君の名はと真逆行ってましたね。

 

内容はかなり違いますが、言の葉の庭の風味があるかな。

多分、監督がやりたいこと振り切ってやりきったんじゃないかって思うような映画です。

 

今日は朝からずっと雨で、映画を観たあとも雨が振っていました。

だからまるで映画の続きを見ているようで。

 

7月後半で雨続き。これを予兆していたのか?って思うような映画です。今、この雨の時期に行くと、更に世界に嵌れそうな映画だと思います。