「アルキメデスの大戦」を観に行きました。
とても良かったです。頭脳戦、タイムリミットに向けての戦いにドキドキさせられました。
大和が造られるって分かっていてもドキドキする。っていうか、どうオチを付けるのかという期待。
天気の子の時と同様に、「数学で戦争を止める、っていうワード。またお決まりの反戦お涙頂戴映画か」と思って観に行くつもりなかったんですが(勝者側になった日中・日露のことは特に振り返らないのに、敗者になった太平洋戦争の時だけ「もう二度と戦争しちゃいけない」とみんなが口々にいうのがもやっとするんですよね。あの戦争で日本がもし勝ってたら、また違う意見が出てる気がして)。
ヤフーのレビューを見たら高評価で、主人公が人気俳優だから高評価なんじゃないかと思ったんですが、ストーリーをちょっとだけ見て「え?そういう構成なの?」と興味が沸いて映画を実際に見に行くことにしました。
ここからネタバレです。
原作は、漫画「アルキメデスの大戦」。
まずびっくりしたのが、戦艦「大和」の戦いから始まったこと。
ここからか、っていう。まあこれがレビューで見たストーリーだったんですが、ここから始まるのかと。
戦闘シーンは短いんですが、色々なものが含まれていますし、後々の伏線にもなっています。
上空から無数に攻めてくるアメリカの戦闘機。爆弾。
大和も応戦しますが、当たらない銃弾。
そして、迎撃したと喜んだのも束の間、相手方のパイロットが海に沈みかけたとき、救出用?の航空機が兵士を助けていく。それを見つめる日本兵たち。
ここのシーンがすごくよかった。実際にこういうことがあったかどうかは別として、国力の差、余裕の差というのもが表れていると思いました。
で、この12年前何があったか…ということでお話が始まります。
巨大戦艦を作るか、航空母艦を作るか海軍内で議論になります。
これからの時代は航空機の戦闘が主流になると思っている側、いやいや大きく立派な戦艦を作ることで国民を鼓舞できるし航空機からの攻撃なんて当たらないと考えている側。
何とか航空母艦を押したい、という側が、数学の天才である櫂直という元帝大の学生の力を借りにいく、という流れなんですけど。
この櫂直という人は架空の人物なんですね。あまりにリアリティあったんでびっくり。まあでもそうか、もしそうならもっと前から取り上げられてますもんね。
実在の人物ではないことはちょっと残念でしたが、この映画の良かったところはほぼ8割会話劇。
主人公含め軍人のプライベートがどうこうとかそういうのはほぼ無くて、ひたっすら男たちが謀略を計り、シンゴジラの官僚ばりに早口でしゃべりまくり、会議で闘う。そういう映画でした。
動きもきびきびしてムダが無いし、見ていて気持ちがよかったです。
大和を作る理由としては、多分作者の方の解釈なんだと思いますが、これはこれで有りだなぁって思いました。
外国とまともに戦争した経験が、日中戦争、日露戦争だった日本。どちらも一応勝っている。そして今後も外国と戦争になる可能性がある、とみんなが予測する中で、「負け方を知らない」というセリフがグッときました。
そうだよなぁって。この太平洋戦争。第二次世界大戦。
日中も日露も、そして第二次後の朝鮮戦争にも日本は関わってますし、どんな戦争にも酷いことがあるのに「負けた戦争」である太平洋戦争のことしか反省してないんじゃないの?と思うことがあります。
役者さんはみんな良かったです。
櫂直の世話係となる軍人・田中を演じた柄本佑さん。
櫂直と事実上対決となる、大和の元となった戦艦を作図した平山演じる田中泯さん。
この田中泯さんという方はあまり知らないのですが、でもどこかで見たな~って思って。さっき思い出しましたが「羊の木」の床屋さんで居ましたね。あと「海獣の子供」にも声優で出ていました。
この田中さんがいい。渋い。この田中眠さんの横顔のショットがすごくよかったです。