「ハケンアニメ!」

映画「ハケンアニメ!」を観てきました。

予告ではポップな感じでユーモア路線の映画かと思いきや、ガッツリと真面目な感じで、そして笑いもあって、お仕事紹介系映画なんだけどもアニメ業界だけじゃなくて他の職種でも言えることだなって思うことがあるような。良い映画でした。

まさかまさか、ぽろっと泣いてしまう部分もありました。

 

原作は辻村深月さんの同名小説。

 

天才アニメ監督と世間で評判の王子監督が7年ぶりの復帰作。その真裏のアニメ枠で戦う無名監督の斎藤監督との戦い。なんですが、王子が圧倒的立場にいるのかと思いきや、こっちはこっちでプレッシャーと戦っており。斎藤の方は、コミュニケーションが下手なだけですごく大人しいわけでもなく言いたいことは言う。でも自分の意見を言葉少なに言うものだから周りに伝わりにくいし共感も得られにくい。

 

お仕事系映画だと、例えば今回だとアニメ制作の紹介になってしまうところを、主軸が斎藤チームVS王子チームという二人(二組)が主役なのでとても見やすかったです。

斎藤に対してチームがすごく嫌がらせするわけでもないし。そこは職人だからみんな仕事はちゃんとするんですよ。納期とかいろいろあるけど監督が言うならそれに従うんです。

だからアニメ自体はきちんと出来上がっていく。

その中で、チーム内のコミュニケーション問題とか、アニメはただ真面目に作っていればいいわけじゃなくて宣伝も大事だよねって話とか、アイドル声優との問題とか、ロケ地での観光業問題とか、アニメに関わる膨大な人たちの世界を描いているのがすごいと思いました。

誰ひとりとしてモブがいないんですよ。

知らない役者さんもいたけど、みんなキャラが立っている。

 

個人的には今年一番面白いし、映画として綺麗な作りをしている。セリフも、演出もくどくない。

 

そりゃ細かいところを言えば、猫の世話はちゃんとやってるのとか、夕方5時にあのクオリティのアニメやるか?とか、そもそも真裏でアニメかぶりってないのでは、とかツッコミどころはありますけど。

 

劇中のアニメ2作とも面白くて、そのラストでお互いの監督がそれぞれ悩むんですけどその対比も良くてね。

 

王子監督は、庵野さんや幾原さんっぽい感じがしました。

 

映画では、締切過ぎてるのに絵コンテやり直すとか、動画やり直すとか色々トラブルが出てきてドラマチックな展開があるんですけど、これって現実でも起きているので(ジブリの宮崎監督とか、庵野さんとか)全く違和感ないというか「多分、現実はもっと大変なこと起きているんだろうな」っていうのが面白さのポイントでもありました。