泥棒役者

まあまあ良かったです。舞台で演劇見てるかのような映画。CMの印象とはちょっと違った方。前半までは「泥棒が色んな役になっていく」という感じだけど、映画の本質としてはそこじゃないなっていう。
だからこのタイトルでいいんだろうかと思いました。
人生…絵本…、もう少し違うタイトルがあったかもしれません。
内容はだれる部分が多くて飽きてしまうところが多々ありましたが、伏線全部回収して最後は全てハッピーエンドで気持ちの良い終わり方でした。
ユースケ・サンタマリアさんの演技は久々に観ましたが、やっぱり上手いなぁと思った。

「火花」

良かったです。
夢を追う人生、なんてありふれてる内容と言えばそうなんですけど、10年間という時間を見ていくので、例えば食堂のおばちゃんのお腹の中に居た子が小学生になってるのに、主人公たちは挫折したままで夢は掴んでいない。それだけの時間がかかっているのに。一方で、10年前に光を浴びていた芸人は、今でもメディアで活躍している。でもそちらだって芸人として本当に幸せかどうかなんて分からない。主人公の徳永が、芸人を辞めたから不幸せかといえばそうではないかもしれない。
芸人をやっていた時間が無駄だったのか。
そのことについて神谷が語る言葉。その神谷は随分と落ちぶれていて、徳永が憧れの眼差しで見ていた神谷ではないんだけど、そんな神谷なのに根拠無く堂々としていてその言葉が空虚なのか深みがあるのかすらよく分からないけれども、心に残る。そんなシーンで、そこ凄くよかったなと思いました。

とにかくこの映画は、間を取るところはたっぷり取っていて。でもテンポが悪いわけじゃなくて。
ここはゆっくり見たいな、心情を考えたいな、と思うところはじっくりとシーンを見せていてくれて良かったです。