大事にすべきなのは安全か、日常か

たとえば。

元々主婦をしていた方で、徐々に認知症になっていて、そして自宅にいよいよ退院となったとき。

火の管理が難しいし転倒の危険もあるから料理はしないで、ヘルパーか配食サービスを使いましょう。

お風呂は見守りがあれば入れますが、滑って転倒する危険があるし、デイサービスに通う予定になっているからそこで入りましょう。

 

こういう提案をしがちです。

 

でもこれでいいんだろうか。

やってみてから決めてもいいんじゃないんだろうか。

病院にいる間に料理の評価も入浴の評価もできる。

評価してみてそこまで問題が無ければ、自宅で実際にやってもらえばいい。

IHコンロを使っている家も多い。

火事にさえならなければ。火傷に注意してもらえば。

多少味付けが変でも、野菜の皮をむき忘れてても、火がちゃんと通っていて8~9割くらいの出来であればいいんじゃなかろうか。

勿論、できなかったときのための対処として介護サービスについて紹介&ケアマネやデイサービスのスタッフに「助けを求めてきたら対応してあげてほしい」と情報を伝えておく。

 

という考えに至ったのも、「食事」と「料理する役割」ってその人にとって大事な要素だと思った事例があったからです。

美味しければいい、健康食であればいい、という問題じゃない。

多少味付けにムラがあったとしても「奥さんの手料理が恋しい」、そんな家族がいるんだと思ったから。

 

廊下を歩いていて転ぶリスクと、1日3回台所に立つ時に起きるリスク。その3回を減らしたところで、何になるんだろう。主婦としての役割を減らして安全を確保するより、「家事がそこそこ出来るように」訓練するのが大事なんじゃないか。

 

この考えが正しいかどうか分かりませんが、本人も家族も納得できる形にしていきたいと思いました。