帝一の國

面白かったです。原作は気になっているんですがまだ読んでいないです。
最初は、今時の若手俳優が良いように映ってきゃっきゃしているんだろうというすごい偏見持ってたんですが、ちゃんとしたストーリーでテンポも良くて面白かったです。
高校内の派閥争いだけではなく、同時に大人の政治の世界の争いも描かれていて、ポップな雰囲気とシリアスな部分がうまく一緒に進んでいてよかったです。
心理戦もよかったな。人ってそうだよね、そういう風に動くよね、って部分と。ダンみたいに、良い人で赦しの心を持っていて先が読めない人物もいるし。


あとこれは自分の趣味なんですけど。主人公がピンチになったり、恥をかいたりとか、そういうシーンを長く見るのが苦痛なんです。自分が恥をかいているような感覚になってしまって。
だけどこの映画ではそういう部分があっても誰かが助けにきてくれたり、そんなに長々描かれていなかったり、すれ違いがあっても最後はきちんと解決していたりしていて見やすかったです。


役者さんの表情もよかったです。漫画原作ということもあってキャラが皆立っているので「自然風芝居」ではなくて、キャラになりきって演じないとだめだったと思うんですが。ちょっとでも恥ずかしさがあると、観ていて「ああ、この人なりきってないな」ってわかってしまうものだけど。
そういうのが今回無くて、良い意味で自分を捨ててる演技がほとんどで、世界観に入りやすかったです。
何か役者さんの演技の良し悪しって、ご本人の力量もさることながら、どれだけ「ハマり役」なのか、とか。こういうシチュエーション、こういうセリフ回しなら生きるとか、結局そういうところであるのかもしれないです。
印象に残ったキャストの一人に千葉雄大さんがいて。この人の丁寧語は聞いていて心地いい。狂気渦巻く生徒会の中で、千葉さんの丁寧な言葉や静かな佇まいが響きました。
関係ないけど、菅田将暉さんは進撃の巨人のエレンっぽい。コウメイもちょっとアルミンぽかった(主に髪型が)

教師、生徒、家族の誰もが主役並みに濃かったのもいいです。


ピアノの伏線は途中ではっとさせられて、そこは感動しました。感動する映画だと思って見ていないんで不意打ちです。

(追記)
この映画を観ていて気持ちよかったポイントは、拍手・起立着席、そして学園祭の太鼓シーンなど何十人もの人たちが一斉に何かを揃えるという団体行動が度々あったことです。
これがとっても綺麗できちっと嵌っていました。
これがあることで、誰でも参加できるような甘ったるい映画ではないというのが感じられて、ピリッとした空気とおふざけシーンとの緩急があってよかったです。