covid-19に思うことと、その間接的影響

県内では看護師や病院事務職の方が感染したようで、そこからの広がりはまだ確認されていません。

最初に見つかった恵信甲府病院はその後院内感染は報告されておらず、とりあえず今は落ち着いています。

こういうとき「隠蔽しているんじゃないのか」とおっしゃる人もいますが、病院界隈は結構狭い世界で、横の繋がりも多いです。〇〇さんの大学の後輩が勤めている、とか〇〇さんの旦那さんが勤めている、とか。入院患者さんも、今や高齢でもタブレットを使いこなす時代。家族面会が制限されていても情報はいくらでも発信できてしまいます。

 

感染者数が少ないのはおかしい、とおっしゃることについて。

県のホームページには検査数が公表されているし、検査自体、陽性・陰性が100%出るものではないし、本当は陽性なのに検体にウイルスがいなかったら陰性と判定される「偽陰性」もあります。だから感染者数は実際のものよりも多いだろうし、あくまで目安だと思っています。

時期的にも、「県民全員が感染者」と思うようにして、中等度・重度の患者さんがどのくらい出ているのか、明らかにクラスターが発生している場所はどこか、を注意すればいいと自分は思っています。

 

これは自分の周りの情報に限ってですが、covid-19では無いっぽくても(別疾患が原因で肺炎になったことが確定できている、医療者・家族含めて周囲に感染者がいない、感染拡大するずっと前から入院している、渡航歴がない&渡航歴者との交流もない)、肺炎の患者さん、または熱が下がらない患者さんは、covid-19だと仮定して病院は受け入れています。

 

だからこそ、肺炎の患者さんを在宅復帰させるのが今難しくなっています。

介護サービスを使えば自宅で過ごせなくはないけど、状態が悪化した時にすぐに病院が受け入れてくれないかもしれない。

特効薬はなくても、脱水対応として点滴はしてくれますし24時間看病してくれるので、高齢者の患者さんだとか、介護者に余裕が無い場合は入院させてもらわないと皆の生活が成り立ちません。

 

でも、今はそれが難しいかもしれない。

だから、自宅退院できそうでも、療養に転院させたほうがいいのではと考えています。そこは家族との相談にもよるけど。何があっても自宅でイイと言えばそれでもいいだろうし。

 

訪問や通所などの介護サービス自体は今は縮小はしていないですが、いつどうなるか不明です。

 

「病院」というのはそれぞれ役割があって「急性期」「回復期」「維持期」で分かれています。大病院の場合は全部兼ね揃えているところもあるけど。

これは以前ニュースリーダーでコメンテーターの方がおっしゃっていて、よく分かってくれているんだなと感動しました。

 

病気なりケガなりして運ばれるのが「急性期病棟」(表向きはそう言ってないが)。

最初に運ばれた病院で治療して、リハビリして、そこで完結すればいいけど、そうじゃない人は「リハビリ病院への転院」を勧められます。

リハビリ病院は、一般外来はちょっとはあるけどそこまで多くはない。手術はしない。「リハビリ」専門の病院。

そうやって次に患者さんを回すことで、「急性期」は新しい患者さんを受け入れることができる。

リハビリ病院からは、自宅・施設・療養病院のいずれかに退院します。

療養は、気管切開している人や痰の吸引が頻回に必要な患者さん、医療的措置が随時必要な患者さんを受け入れます。

この流れの一つでも滞ると医療は成り立たなくなる。

 

というか、遠くない未来にはそうなります。covid-19に関係なく。これは何年か前から言われていて、少子高齢化の影響もあり働き手はどんどん減っています。医師、看護師は常に募集状態だし、介護サービス界隈も人手不足、離職率高い。でも給料は安い。

施設も赤字が多い。施設の維持費、オムツやパットの代金、レク用品、お風呂用品、リネンの管理などなど、施設の料金は一見高いけど意外といっぱいいっぱい。食事料金を高くしてそこで稼ぐ施設も昔は居ました(今は分からない)。

 

だから今は「予防事業」が強化されています。フレイル予防とかね。

 

話ずれたけど、じわじわ影響が職場にも来ていて、今までのように患者さんに十分な支援が出来ないのがもどかしい。

人と人の繋がりが最高の治療道具みたいなものだから。例えば、自宅改修するときに患者さんもセラピストも不在で改修プランを提示するって、それだと間違えが起きてしまうかもしれない。

最悪、足りない分には在宅サービススタッフに補完してもらえばいいのですが、無駄な改修になってしまうかもしれないのが怖い。お風呂とか段差解消とか、取り返しがつかないもの。そうは言っても仕方ないので、今はみんなで知恵を振り絞って考えています。

 

 

あと、自分の周りではそういう話が出てないけど(病院、介護領域が多い地域だからなのかしれないけど)医療スタッフへの差別行為について。

こういうのを聴くと、最初は「嫌だな」と憤ることもありましたが、人間の本能として仕方ないと思います。

感染予防という観点から言えば、感染する可能性がある場所で働いている人間やその関係者を避けること自体は間違った行為ではないから。人の心としてはどうかと思うけどね。

 

 

そしてこれは私も含めてですが。

 

医師、看護師、リハビリスタッフなどなど医療従事者の誰もが感染対策に強いわけではありません。

結構間違ったことをやってる人もいるし、忘れている人もいる。

 

感染症専門の医師で、且つ、論文を書いたり学会発表したり講義をしたりとか、「日々精進されている方」「実際に感染対策に従事した方」以外の”医療者”の言うことはそこまで信用しない方がいい気がします。超基本的な感染予防は「手洗い(水を拭き取るときは出来れば使い捨てペーパー、タオルは家族別)」「咳エチケット」「密集地帯に行かない」だけどcovid-19の新しい情報についてはまだまだ研究途中だから。

 

テレビでは毎日報道がありますが、感染者数はどうでもいいから、「軽症」とはどういう状態なのか、「人工呼吸器と酸素マスクの違い」とか、自宅待機時に気をつけることとか(水分補給とか家族に移さない方法とか)、入院時に必要な物品とか、休業しているお店の補償について政府から対策は一応出ているのでそれの説明とか、「病院はたらい回ししているんじゃなくて仕方なく受け入れられないんです、コロナ以外にも病気はたっくさんあるから」とか、具体的なこと・正しい情報を報道して欲しいと思います。

 

でも「死者が〇〇人を突破しました」とか政府に批判が!とかそういうの言いたいんだろーなー。

政府のやり方もグダグダですが、海外は海外、この国はこの国のやり方がある。

シンゴジで、街に死者が出ているのに政治家たちがぐだぐだ話していて東京都が先に自衛隊に要望出してるシーンがすっごく思い出される今日このごろですけど。

まあ、多少マスコミが切り取って報道したり真意が伝わってないこともあるけども(布マスク2枚も悪くはないが、それにお金つけなきゃ皆納得できないしパフォーマンスでもいいからもうちょっとやり方ないんかい、というツッコミ)、「嫌われるためにわざとやってる?」と思うこともあり。

 

ほんとに、本当に今何とか耐えていると思います。

全ての職種の方に感謝ですし、死者が抑えられているのは、現場の方たちの頑張りのおかげです。直接医療に関わっていなくても、シーツや布団を洗濯してくれる業者さん、掃除の業者さん、食事を作ってくれる人、物品を運送してくれる人、ガソリンスタンド、医療機器や事務用品のメンテンス・・・などなど挙げたらキリが無い。

医療の末端の自分でも、肺炎患者さんが目の前で亡くなっていくのは何度か経験があります。

悪化した方を助けるのは、大変なことです。

命が助かっても、口から物を食べられず一生経管栄養もしくは胃瘻で栄養をとり、車いすにも乗れないほど全身状態が低下する方もいます。

こういう方でも「命の危機は脱した。回復」にカテゴライズされますが、生活の質としては危機的状況です。

covid-19ではなくても、肺炎ではなくても、病気が治る=命の危機を脱する、であって生活まで直すのは至難なこともあります。

 

今の政府は頼りないものもあるけどそれを報道しているマスコミもよく分からないし、与党以外に任せたら更に沈没するので(外交的にも)、何とか頑張って欲しいし、少しはまともに早急に動いて欲しいです。