ジブリ映画を映画館で、という企画が今やってるので「風の谷のナウシカ」を観てきました。
こればっかりは当時生まれてなかったら映画館で観てないんですよね。
行く前は、大画面で観られるラッキーとしか思ってませんでしたが、「今」映画館で観ることにすごく意味がありました。
例によって座席は前後・左右に1席ずつ空いてる状態。
自分は、周りに誰もいない前方スペースを予約。
始まってまず、映画館の良い音響で聴く音楽はDVDやテレビでは代え難いものでした。
これは良い!
そして映画の内容。
腐海に飲み込まれつつある人間社会。でも争いが絶えない。争ってる場合じゃないのに。
腐海ではマスクをしないと生きていけないし、水も土も綺麗なものを育てていかないとならない、谷の水や土ですら少し汚れている。
この状況が現代と通じるものがあって「姫様マスクを!」のシーンが、今まで以上に感動しました。
というか今までは王蟲のシーンとかが印象強かったので、あのシーンは「ナウシカかっこいいな」くらいにしか思ってなかったんですが、「マスクを取ったら5分で肺が腐る」というのがものすごくリアリティを感じて、マスクを取って笑顔でサムズアップして仲間を安心させるナウシカのシーンに、泣きそうになりました。
ラピュタやもののけ姫がそうですが、ナウシカは戦争の話が結構主になってるので人がかなり死にます。結構リアルな描写も。剣で人の身体を貫いたときに服が破れて皮膚が見えるとか。敵が自陣に入ってきそうになったら、最後は集団自決しようとしてるとことか。可愛い絵で描いてるけど内容は結構えぐいし、戦闘機同士の戦いも雲を利用したりとか細かい。
今まで何十回も見てきましたが、やはり大画面だと細かいところまで見えておもしろかったです。
そしてこの年代、この情勢だからこそなのか、ペジテの人たちが追い詰められていたこと、トルメキア軍が行っていたことが、必ずしも悪ではないし、ナウシカの言い分も解るけど、国の大きさや周囲の国との関係を考えてみたら、何が正しくて悪いのかははっきり言えないだろうなと思いました。
あと単純に、生き物を、自然を大事にしようっていうのが伝わってきたかな。
それと、幽白の冨樫さんが単行本とかで書いてたけど、クラピカのモデルが王蟲という話。確か蔵馬もジブリが関係していたような。
腐海の生き物たちが、一匹の仲間のために全力で報復しにくるところが流星街の住民を彷彿とさせました。
ナウシカの映画が終わって、誰も席を立たなかったのがすごかったです。
この頃のジブリ作品はエンディングがちょっと短いんですよね。スタッフロールが流れる間に、ナウシカ最終カットのその後が静止画で描かれてるんで、それを観てるから歌が終わった瞬間「はっ」とする(紅の豚もそうだけど)。
だからなのか、内容がすごかったからなのか。
ほぼ満席の映画館で、「終わり」の文字が出て電気がついたにも関わらず誰も帰り支度を始めようともせず一瞬の静寂と「…はあ……」という息遣い。
最近なかなか無い現象で、これを味わえたのもよかったです。