映画「窓際のトットちゃん」

アニメ映画「窓際のトットちゃん」。

予告を観ていて、多分このアニメのクオリティで、徹子さんがOK出したアニメ化なので多分良作だろうと思ってましたが、想像以上に良作でした。

 

子供の動き方がリアル。多動児のトットちゃんの動き方もそうですが、目的の道具を取りに行くシーンで、ほうきで遊びだして、そのあとで脚立に気づくシーン。ここがめちゃくちゃリアルだなと思いました。

 

友達の小児麻痺の泰明ちゃんの演技もよかったし、その子が運動するのはリスクあるし苦手意識を持っていていつも本(黒人奴隷が白人支配に屈する話)を読んでるんですが、ある日トットちゃんに誘われて汚れながらも木に登ったシーンがあって、その日の夕方に母親が汚れたシャツを観て泣くシーンにはこちらも泣かされました。

 

驚いたのはプールのシーン。ほとんどの子は水着がないせいなのか真っ裸で準備体操してからプールに入る。しかも男女混合。女児、男児の乳首もしっかり見せて、流石に下半身は・・・と思ったらそこも映していて驚きました。もちろん精密には描いていないです(例えるなら人形の服を脱がせたときにあんな感じ)。クレヨンしんちゃんみたいな象さんも描かれていないので、そこは違和感ありましたが、これは地上波では流せないだろうし海外でも無理だろうなと思います。

 

アニメーションがとても綺麗で、背景も美しい。写真的な綺麗さでは無くて、温かみがあるもの。

トットちゃんの家は中流階級の家だと思われます。ガスも引いてあって、ガストースターまである。映画館の客席の年配のお客さんがこのシーンで「わぁ」っとざわめいたので、なかなか珍しく懐かしいものだと思われます。

 

だんだんと戦争が市民の生活に入ってきて、食事もどんどん質素になり、華美な服装もできなくなり、トットちゃんのお父さんの仕事も軍歌を弾くために・・・となりそうになる。

途中でお父さんはいなくなり、ペットのロッキーもいなくなりますが(殺されてしまったか軍用犬として排出されたか)そこは多くは語らずで。

 

焼夷弾の落とされる様子も細かく映されていて、まあ戦前~戦中の東京の様子を描いた、そして世間からは少し外れたところを生きざるを得なかった子供達や大人の関わり方を描いた素敵な作品だと思います。

 

 

余談ですが。

 

自分はこういう戦争を描いた作品とか観るときに、感想として「だから戦争はだめ」というのはありつつも、じゃあそれは政治だけに原因があったのか?市民にはなかったのか?というのは疑問に思うところがあります。笑顔で旗振って、戦地に送ったり、華美な服装を禁止させようと呼びかけた婦人会。子供達に軍事教育をした大人達。誰も陰で戦争はだめだと教えることもなく、反戦活動したこともない。なのに戦争は政治家のせいにされる。それはちょっとおかしいんじゃないか?煽ったマスコミの責任とかあるんじゃないの?

これ描くと、多分責任転嫁だと言われるかもしれませんが、この辺りの市民の責任も描いた戦争特集があってもいいなと思います。