映画「PERFECT DAYS」

映画「PERFECT DAYS」観に行きました。よかったです。

ドイツ監督の作品とのことで。これは日本だったら撮れない映画だろうし、撮れたとしても大規模での上映は難しいのではと思いました。

予算とかそういう問題では無くて、ストーリーにおいてほぼ凪。大事件が起きるわけでもないし主人公の価値観が変わるわけでも成長するわけでもない。

少しの幸せ。

少しの孤独。

少しの寂しさ。

少しのハプニング。

変わらない朝陽。木々の木漏れ日。

 

トイレ清掃の合間の昼休憩でよく会うOL。トイレ清掃中に見かけるホームレスのダンサー。他の清掃員に懐いていた(多分ダウン症?)少年。

銭湯での顔見知り。

親と喧嘩して家出してきた姪。

飲み屋のママや常連達。

 

そこからストーリーが膨らむかといえば膨らまない。よく会うOLとは声を交わすわけでもない。ホームレスとはアイコンタクトだけ。

 

でももしかしたらここから何か起こるかもしれない。ホームレスは生きていたのか、死者として踊っていたのか。

 

ママとの関係性ももしかしたら変わるかもしれない。

 

映像は奇をてらうわけでもなく音楽もゆったり、すごく贅沢な撮り方している映画だと思いました。役所広司さんの演技でほぼほぼ持ってる映画なので、役所さんじゃないと成り立たない。多分、役者冥利につきるのではと思いました。

時々、柄本明さんの声に似ていたのが印象的。

 

男の過去はほぼ明かされないし、伏線かと思いきや別にそれはそのままで。

多分男は、妹が乗ってきた送迎付き高級車から察するに、富豪か大会社の長男で、父親と仲違いして家を出て、紆余曲折を経てトイレ清掃員になったのかなと思いました。結婚歴は不明ですが、障害あるなしに関わらず子供への優しい眼差しを見ていると、もしかしたら結婚歴もあるのではと思いました。

 

ホームレス役の田中泯さんのダンスもとてもよかったです。人と自然の狭間にいるみたいでした。