脳血管障害の患者さんの運転再開に向けて

脳梗塞脳出血くも膜下出血、頭部外傷などなど。

脳血管障害になったら車の運転再開のためには主治医の判断、公安委員会の判断が必要になります。

こと地方によっては車が生活の一部。車が無ければ買い物に行けない、そんな人が沢山います。

そりゃ昔々は車が無い時代があって、そういうときは皆歩いて行ったわけですけど、車に慣れ親しんだ現代では昔の生活に戻るなんて難しい。

バスもそんなにない、東京みたく電車も多くないし本数も少ない(車社会だからバスを使わない→バスの本数が減る、という負のスパイラル)。

なので、患者さんは車の運転を再開したいという方が多い。特に、運動麻痺がほぼ無い人は病院生活には特に困っていないので「1ヶ月で帰りたい」という方が多い。気持ちは分かる。手足が自由に動くのに、何で車の運転ができないの?と思う気持ちは分かる。

でも、注意障害、記銘障害、ワーキングメモリーの低下、遂行機能障害。反応速度の低下。神経疲労。目に見えない障害がたくさんある。

そんなに簡単には車の運転再開にはいかない。

後遺症は、1~2ヶ月で完全に改善するものじゃない。

人によりけりですが、数ヶ月、半年、1年。それくらい長くかかるものだと思ってもらった方がいい。

 

何とかして車の運転を獲得して欲しい。

そのためにリハビリをするわけですが、能力が上がらない人はどうしてもいるわけで。

どうしても時間がかかるわけで。

やる気になってもらわないと能力は上がらない。筋力や関節の動きのように、目に見えて回復するものではないので患者さんには実感が湧かないからやる気も段々なくなってくる。そうすると能力が上がらず再検査に引っかかってしまう。

 

やる気を出してもらう。後遺症を認識してもらう。

能力を引き出すためのプログラムをタイムリーに入れる、段階を上げる。

それがとても難しいです。