いろいろ

映画「ザ・ファブル」を観に行きました、2回目です。

2回目なのでキャラの表情の細かい部分をしっかり見たり、心情を考えたりして見ることが出来ました。

岡田さんの名前がスタッフの部分にも載っていたのが印象的。

 

2回目だったんでスタッフロールの途中で退席したんですが、そしたらレディ・ガガの曲に劇場スタッフがノリノリで踊っていて、それにばっちり遭遇してしまって(苦笑)すぐに踊るのやめてましたが。あまりにもキレッキレで笑ってしまいましたが、劇場スタッフが楽しそうにしているのはいいなぁって思います。

 

 

太宰治について。正妻の津島美知子さんが書いた「回想の太宰治」をようやく読むことができました。文庫本ではない方を読みたくて探して、地元の図書館の地域資料のコーナーで見つけることができました。持ち出し禁止のコーナーです。

 

1時間半掛けて読みました。

 

太宰のことを冷静に見ているし、自分自身の家庭のやりくりについての反省もしているし、でも太宰という男に愛を持っていたんだなと思いました。この本からそういう風に感じられます。

なんだかんだで3人子供を宿して、戦中の物資不足の中で太宰のためにお酒やタバコも調達しつつ、鶏や卵も買いにいかなければならなくて。奥さん、どんだけ大変だったかと。三鷹の立地が、水を汲みに行くところが遠かったのと商店も遠かったみたいで、お金のやりくりの大変さよりも、距離的問題の方が苦労だったようです。お酒も安いの選んでたし。お金よりそっちかい!って感じで、人の苦労って他人には分からないものだなと思いました。

太宰の家はボロで、死の少し前の時には家の中も荒れていたと何かの証言で読んだことがありますが、実際は、雨漏りを直そうと思ったけれど大工さんが間に合わなかった、というだけの話みたいです。

奥さんが疲れていたのも、子供を連れて遠くまで行く買い出しが大変だったから。

 

クズさは十分な太宰ですが、仕事は頑張っていたし、締切も守っていて、仕事人間の人だったんだと思いました。花鳥風月にはあまり興味は無くて、自分とその周囲の人たち、酒、薬、人の欲、そういうものが小説の題材になっていたんだろうと。

 

流石にこの回想録では愛人の話は出てきません。だから「斜陽」の文字すら出てこない。

でも疑問に残ったのは「人間失格」「グッド・バイ」も出てこないこと。

結核の状況も書かれてなかったこと。

その辺りはどうだったんだろうか、死の前の太宰の様子については、税金のくだりにしか書かれておらず良く分かりません。

 

ただ、この回想録の面白いところは戦時中のことも書かれていて、三鷹の空襲では太宰が、甲府空襲時には太宰家族全員が遭っているのに、そこはさらっとしていて、それよりも食糧難の苦しさの方が沢山書かれているのが印象的でした。

しかも甲府空襲後、焼け野原なのにどこからかお酒を調達してずっと飲んでいたという太宰。

どんだけかと(苦笑)酒とタバコと女が必要だったんでしょうかね。

食事も、津軽のそこそこ良い家の出身だし、そこでは魚など食料も豊富だったので、今で言えば美食家にあたるのかな。そんなイメージ。だから戦時中も慎ましい食事で納得できるはずもなかったから、奥さんは尚大変だったろうなと思います。

 

小説の裏話も面白かったです。どこからが引用なのか、どの部分はオリジナルなのか。

昭和12年頃は発行本が少ないけど、実はストックが沢山あって形にならなかっただけとか。

 

この回想録と、山崎富栄のノートを合わせて読むと、またおもしろいかもしれません。