映画感想(三島由紀夫VS東大全共闘)

映画「三島由紀夫VS東大全共闘」を観ました。

タイトルがちょっとださいなと思ったら、当時本当に三島由紀夫 対 東大全共闘と学生が掲示板に書いてたんですね。

 

ドキュメンタリー映画なので、テレビ番組を映画館で観ている感じです。大画面で見れる贅沢さ。

 

東大生が三島を討論会に呼んで、そのときのポスターに「近代ゴリラ」「飼育料100円」(参加費のこと)と書いているのが、すっごい程度が低いと思いました。

それに対して三島は笑って流していて、「自分がここに参加するおかげでお金が集まるんだからむしろ自分がもらっていきたい」みたいなことを言ったり、ゴリラについても触れたり、すごくユーモアのある人だと思いました。

 

1968年。安田講堂の攻防後。山岳ベース、あさま山荘事件の前の時期。

 

三島と東大生達との討論の様子はTBSのカメラだけが収録したそうです。

 

両方の討論はどちらも頭の回転が良くて、圧倒されました。

質問に対して間髪入れずに答えるところが凄い。

タバコの煙が充満しているところに、まだ赤子の娘を抱きながら討論する芥という人のクレイジーさもすごい。

 

たった50年前なのことなのに、この時期って、戦時中よりもよく分からないことが多くて、不思議な感じです。

学生運動が盛んだった頃から数えて、今の70代辺りがそうなんですよね。

 

三島由紀夫というと自衛隊駐屯地での割腹自殺が印象的ですが、楯の会では自衛隊の訓練の体験もやっていたそうで、それだけお世話にもなっていたところだったと思うと、また見方が変わってきます。

 

討論会では、三島のスピーチに学生側が圧倒されたようにも見えました。

でも、柔らかい空気のまま押し返してくる芥の圧がすごかった。弁が立つとはこういうことを言うんだなと思いました。

そして三島のすごいところは、煽られても怒ることなく、ずっと同じテンションで会話し、相手の悪口を言わず、揚げ足取りもしない。

人間的に素敵な人だと思いました。

 

再現ドラマは無いので、スタッフロールに流れてくる名前は全員が実名。

映画館でこの光景は不思議な感じでした。

当時の人の証言はどれもおもしろかったけど、寂聴さんだけは内容が全く無くて、いなくてもよかったんじゃないかと思いました。