「レジェンド&バタフライ」

映画「レジェンド&バタフライ」観てきました。

良かったです。

 

何か、思い出すと本当に良かったなぁって思える映画です。

強いてだめなところ言うとしたらあと30分、1時間くらいは欲しかった。

信長の人生濃すぎて3時間弱でも少ないです。それでいて特に無駄なシーンはないんですよ。濃姫との過ごした創作シーンが長いくらいで。でもそこ描かないとこの映画成り立たないから狩りのシーンとかは必要ですし。

 

そんなわけでここからネタバレです。

 

織田信長と、その正室である濃姫帰蝶)のラブストーリーです。

そもそも濃姫の名前自体が曖昧なので、後世にこの名前が使われてる感じですね。

映画の中でも濃姫の名前はほとんど出てこないです。

信長は「おまえ」とかしか呼ばないし。

家来たちもほとんど「姫」呼びなので。

帰蝶という名前は一切使われていないのですが、映画内では蝶が印象的にな場面が出てきて、そこがおしゃれだなと思いました。

 

 

R12指定ですが合戦シーンはほぼ無いです。

桶狭間の戦い長篠の戦いも。始まる前か、終わった後か。

ただ、大戦とは別の小競り合いシーンがあってそこがまあまあなグロさなのと、延暦寺焼き討ちと本能寺の変の戦闘はがっつりかかれていて、延暦寺に至っては女性や子供も殺される寸前のところまで描いているんで、コレすごいなと思いました。

 

もう全部良かったです。木村さんも綾瀬さんも伊藤英明さんも、隅から隅まで全部上手いし、衣装も小道具も音楽も。

家康が斎藤工さんだということにスタッフロールで気づいたんですが驚愕でした。小手伸也さんかと思ってましたよ。

 

濃姫中心のラブストーリーになるのかと思いきや、光秀と信長の信頼関係だとか蘭丸との関係もちゃんと描かれていてそこが満足でした。

蘭丸とはそういう閨のシーンは無いんですが、分かる人はちょっと分かる感じのところがあって、あれ入れてくれたの嬉しかったです。

光秀は、大河の「麒麟がくる」よりは戦闘好きだし信長崇めてるタイプなので、有名な足蹴シーンも実は光秀から提案したものというのが斬新でした。信長を魔王として崇めていたのに信長は段々と孤独を感じて人になっていく、それに愛想尽かした光秀が討つという。その解釈面白かったです。

 

弱い信長像という点では「麒麟がくる」と少し似ていますかね。だからあのドラマ見ていたからこの映画見てもスっと入ってきたし、足利将軍は名前しか出てこないんですが大河ドラマのおかげですごくわかりやすかったです。

 

あと信長には側室がたくさんいますが、そこもちゃんと描かれてました。

濃姫斎藤道三と描いた夢を信長を利用しながら目指していくっていうのがすごく新鮮でした。

 

実は当時の武将たち全員が領地を何が何でも広げたいとか天下を取りたいとか思ってたわけじゃないんですよね。地元の武田信玄公は正にそれで、もちろん必要な土地は得たいけど、京に行ってまで天下取りたいと思ってなかったわけで。

 

小国から始まった信長がどんどん勢力を伸ばして行った理由のひとつに濃姫が関わっていたとしたら。誰かのために力を出す。そういうストーリーもあったかもしれないと思わされる映画でした。

 

ラストの本能寺の変

信長と蘭丸との別れ良かったです。蘭丸最後まで守り抜いてくれたねって。

で、奥の部屋に行った信長が手持ち無沙汰なのがまたリアリティあるんですよね。だってもし自害しようと思っても敵が来るかもしれないし。かといって信長自身はまだ元気だから生きようと思えば生きれるだろうし。光秀は謀反起こしたけどまだ秀吉や沢山仲間はいる。

で、このあと。

もうこれはね、ずるいですよ。どんだけ見たかった信長の最期だったことか。自分は生存説が好きなんですが、それを見れたんです。もう大満足です。

もちろんそれは信長の見た夢だったんですが、信長と濃姫が実は生きていて南蛮船で異国を目指して…というシーンがねすごくよくて。もうこのままこれでいいよって思ったくらい。そこから「現実はそうはいきませんでした」と戻るんです、この落差。

ここで涙しそうになりました。

っていうか貴方たちの言う異国って南蛮のことであって、中国とかじゃないよね多分。という突っ込みは野暮ですが。

 

濃姫安土城で静かに息を引き取り(延暦寺の後で離縁していますが、その後再び信長に戻されているが既に病が進行していて寝たきりになっていた)、信長もまた自害した。

 

そのままスタッフロール。

本能寺の焼け落ちる音をバックに名前が送り出されていきます。

 

この演出もよかったです。

 

歌詞入りのエンディングにしなくて正解です。

 

まあ当たり前ですけど木村さんも綾瀬さんも縁起上手いのとスター性があるからひとつひとつの動きが全部かっこいいし絵になるし、かといって押し付けがましくなくてものすごくよかったです。