映画「哀れなるものたち」

先日、映画「哀れなるものたち」(原題:Poor Things )を観に行きました。

最初は興味なかったんですが口コミで評判を聞き、またR-18なので今後配信とかでも観る機会が難しいだろうと思い観に行きました。

 

結果、とてもよかったです。

 

気になっていたグロ表現は最初の方だけで、エロのシーンも意味があってそういうシーンがあるので嫌な気分にもならなかったし、多分強姦や拷問シーンとしてそういうのがあったら嫌だったんですけど、基本的には主人公のベラが主導のSEXなのでそこがよかったです。

 

こういう大冒険というと、なんだかんだでお金に恵まれているからじゃないかとつっこんでしまうんですが、貧しい人たちにお金を渡してしまったことで(多分、船ホテルのスタッフがネコババしてしまったと思うけど)無一文になったベラがパリで一人で生きていくのでそこがよかったです。慣れない中でも娼館で自分の意見を言いつつ、でも世話になった女主人の言うことも聞きつつ、そんなベラを周りの娼婦たちも慕っている感じもあるし客達もみんな無下に娼婦を扱うのではなくて色んな客(というかプレイというか)がいて、少し微笑ましくもありました。

大冒険がから帰ってきたベラを婚約者が戸惑いながらも嫉妬しながらも受け入れるところは愛情があってよいと思ったし性病検査はしたのかと尋ねるところがとてもリアリティある。

 

突拍子もないことが起きているような世界ですが、リアリティや救いがそこかしこにあるのでとても気持ちよく観られるし、最後はちょっとスカッとするところもあって。

 

ベラを勝手に手術して生き返らせたゴッドはとんでもないやつかもしれないけど、ベラが自殺した経緯を考え、そして出会った人たちとの冒険を考えたらゴッドがしたことが必ずしも悪には思えなくて。死ぬ寸前までベラを大事にして結婚式まで駆けつける姿が素敵だと思いました。

ベラはみんなに愛された。それはベラが傍若無人に見えて、優しく愛のある人だったからもしれない。

 

この映画の序盤はモノクロ。ベラが世界に飛び出した瞬間に色が付くんですがその瞬間がとても華やかで、ああ生きてる!って感じで、その演出が感動的ではないけど迫力があってとてもよかったです。

 

好きなシーンはいくつかありますが、ゴッドとベラとバラッド3人が寄り添ってゴッドの死を見守るシーンが良かったな。船の上でのマダムとの語らいも好きでした。本を捨てられてもマダムがベラに本を差し出してくれるところ。